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「今日はピクニック日和ですね」
にこにこと天使のように微笑む少年はこう言った。
私は確認するように周りを見渡した。私の握る青い傘はポタポタと雨粒が当たる音を出している。周りにはそこら中に水たまりが作られ、カエルの遊び場と化していた。
少年もカッパを身につけ、抱える大きなバスケットは透明なビニール覆われている。どう見ても、ピクニック日和とは言いがたい。
しかし、少年が期待するような輝いた目で私を見つめる。私は引きつりそうな口をなんとか抑え、笑い返した。
「…そうだね」
「はい!」
この少年と出会った数日前も、このような雨の日だったと思い、なぜ雨の日にピクニックをすることになったかを思い返した。
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