0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
いつも通り
「何で『ゴールデンウイーク』って言うんだろう?」
「諸説あるらしいけど、映画『自由学校』が、この連休中に当時の最高の売り上げを記録したことから、稼げる期間ってことで宣伝用語として、映画界で『ゴールデンウイーク』ってつけたのが始まりらしい」
「娯楽に使う金のための期間ってことか……」
「お金を使ってくれる人が居るから、俺達みたいに休まず働いて、金を稼ぐ人間だっている訳なんだから」
俺は苦笑しながら、そう返す。
ここはコンビニ。
ゴールデンウイークだからといって、休みにする訳にはいかない。
というより、行楽に出かける人達が立ち寄るから、いつもよりも客は多い。
たくさんの客をさばきながら、ちょっとした合間に、俺と一緒にシフトに入っているフリーターの友人と、さっきのような会話をしていた。
「忙しくなることを見越して、バイトの時給を少し多めに出してくれるって言ってたけど、これだけ忙しいと、ワリに合わない気がするな」
そう愚痴りながらも、友人は商品の補充作業をしている。
「『ゴールデンウイーク』っていうくらいなんだから、この期間はお金が降ってくればいいのに」
「もし降ってきたとしても、小銭ばかりな気がするけどな」
俺は苦笑しながら答える。
「それに、小銭だと拾うのが大変じゃないか?」
「大変だと思って拾わない人がいるから拾うんだよ。塵も積もればって言うだろう。でも、拾ったお金の取り合いが起きたりして、意外に面倒なことになりそうだけど」
「俺は、空からお金が降ってくるよりも、俺の銀行口座に五億円くらい振り込まれている方が嬉しいけどな」
「それな! それなら、拾う手間はないし、振り込まれたお金は全部自分のもので、他の人と取り合いになることもない!」
最初のコメントを投稿しよう!