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鎖の音だけが響くこの部屋で、きゅう、足を閉じ合わせて待っている。
取れそうで取れないギリギリのサイズの首輪がただただ苦しい圧迫感。
ここに閉じ込められて、どのくらい経っただろう。
…でもそんなこと考えたくもない。
「…○○?」
「っ、…」
名前を呼ぶ声にビク、と震えてその震えは、鎖を伝って震える。
「大分良い目になってきたじゃんじゃねぇの、お前」
なんて、私の手に自分の指を絡ませながらそう言ってきて。
ひく、と引いた私の体を、鎖で、ぐんっ、と引き戻す。
「あ、…や、っ…」
トン、と彼の胸に軽くぶつかって、恐る恐る見上げた彼の表情は…よく分からない。
ただただ、口角をあげて、満足そう。
「その抵抗も無駄だってこと…いい加減気づいたら?」
なんてちょっと小馬鹿にしたように。
「そろそろ、我慢できないくらいになったんじゃねぇの。ねえ、…」
聞きながらする、と解けた指先は、今度は私の顎を持ち上げてくる。
少しまでは、抵抗してたけど、そんなこと無意味だって痛いくらいに知らされた。
「…っ、……」
熱い喉が何かを求めて、こくん、と上下に動く。
そんなの想定内って顔で軽く口角を釣り上げた。
「俺の唇がお前のここに触れたら、お前壊れんじゃねぇの?」
びくっ
一瞬想像をして考えてしまった自分が恥ずかしい。
「今言えたら、俺しか考えないくらい、
お前がしたことないようなキス、してやるけど。どうする?」
べー、と自分の下を出しながら私の唇をとんとんと優しく叩いてくる。
いま、いったら、この熱いくてジンジンする感覚を、止めてくれる?
そろ、と舌を出して自分の舌を叩いて。
「ほーら、欲しくねぇの?欲しくねぇわけねぇよな?」
彼はそっとしゃがんで私の言葉を待ってる。
「ね、俺に何して欲しいの?…お願い、してみてよ。」
「…っ、…………」
自分で、きすしてくださいなんて絶対言いたくないの。
だって言ったら引き戻せなくなるのわかってるから。
「やだっ、…いわない…」
「ふうん?」
一見、興味なさそうな顔をしといて、一瞬目がぎらついたのが隠せてない。
「ほんと意地はんのやめたら?」
「………ぅ、」
突然 する、と私の下唇を撫でるから、ビク、と感じてしまう。
「ここ、こうやってやったら、気持ちよくなっちゃうくせに、まだいわねぇの?」
「…ふ、………っ、…んっ」
「お前さ、毎回毎回ここ刺激されたら気持ちよくなんの当たりめぇーだろ」
「俺が躾たんだからさ」
どく、
…どくっ
心臓の音と彼の声だけが耳に響いて。
はく、と唇が震えて、もう耐えられない。
するとまた唇を撫でられて。
気づいたときにはもう遅いの…
「きす、…して……くださ、っい……っ………んんんん、……っ…!」
彼の唇が私の唇び触れて、口付けに甘く溶けていくもっと奥深く、みだらに絡まり合うように。
「ふっ……、んっ、……ん…!」
「っ、……ふは、…」
唇が離れて彼は私の顔をじっと見つめて、でもただ見つめるだけで。
なにもしてこなくて。
数秒、経ったとき、こう言った。
「ねえ、どうする?キスより、もっとすげぇやつ。して、みない?」
私の予想外の言葉で戸惑う私。
「ね?」
言いながらゆっくりと近づいてくる彼の姿。
ふう、と耳に吐息をかけながら。
「欲しい?欲しいなら言ってみな?」
「っ、……」
「君なら言えるはずだよ?だって俺が躾てやったんだから、」
耳元でしゃべるだけでも、ぞくぞくが止まらなくて。
「…ほ、…しい」
「…なにを、?」
せっかく言ってあげたのに、彼はそれより上の言葉を求めて。
もう引き返せない、彼の思うままに動かされて
ジンジン、って喉が熱くて、壊れてしまいそう。
「…あ、…っ、___________っ、…」
気づけば彼に向かって口を開く自分がいた。
「ふはっ、よくできました」
end
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