46人が本棚に入れています
本棚に追加
「降りるぞモビ。開けてくれ」
チェスコンの言葉に、エアモビのAIが反応し、
「お疲れ様でした。チェスコン」
としゃべりつつ、ガルウィングのドアを開けた。
「ここが・・・あなたの家なの?」
ニリーアは周囲を見回しながら、驚きつつチェスコンに尋ねた。
「ああ、アジトとも言うがね」
チェスコンは円柱形の格納庫の壁面にある一つの扉の横のテンキーでパスワードを入力し、更にフィッシュアイカメラで網膜認証を行った。
『ガコン』という鈍い音とともにドアが横方向にスライドし、奥の部屋に通じる通路が見えた。
「さぁ、入ってくれ」
チェスコンはニリーアを先に中に入らせ、自分は後から入りつつドアをロックした。
ニリーアが通路の端のドアに達すると、ドアが開き部屋の中を見渡せた。
部屋の中央には金属製の円卓があり、白色の照明の中、円卓に寄りかかる一人の若い男がいることに気がついた。
チェスコンはニリーアに部屋に入るよう促した。
「紹介しよう。俺たちのメンバーの一人のグリナダだ」
チェスコンはニリーアの顔を見つつ、会釈で彼女に挨拶を促した。
「グリナダです。よろしく・・・」
若い男はニリーアに右手を差し出した。
「はじめまして。ニリーアと言います」
彼女は左手で胸を隠しつつ、グリナダが差し出した右手を軽く握った。
「まずは、着替えとシャワーだな・・・左の部屋に着替えとシャワーがあるから自由に使ってくれ」
チェスコンはそう言いながら、ニリーアがグリナダから離した彼女の右手と軽く握手を交わした。
「・・・それとだ・・・このグリナダは俺たちのメンバーであると同時に、俺の仇でもある!」
チェスコンの言葉に左の部屋に入ろうとしたニリーアは、「えっ?!」と振り向いたが・・・
チェスコンが顎を突き出して(入れよ)と促し、
「出てきたら話す」
と付け足したので、黙って左の開き戸の部屋へ入っていった。
最初のコメントを投稿しよう!