第1章 ブラック・シティ(黒の都市)section2

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「降りるぞモビ。開けてくれ」  チェスコンの言葉に、エアモビのAIが反応し、 「お疲れ様でした。チェスコン」  としゃべりつつ、ガルウィングのドアを開けた。 「ここが・・・あなたの家なの?」  ニリーアは周囲を見回しながら、驚きつつチェスコンに尋ねた。 「ああ、アジトとも言うがね」  チェスコンは円柱形の格納庫の壁面にある一つの扉の横のテンキーでパスワードを入力し、更にフィッシュアイカメラで網膜認証を行った。  『ガコン』という鈍い音とともにドアが横方向にスライドし、奥の部屋に通じる通路が見えた。 「さぁ、入ってくれ」  チェスコンはニリーアを先に中に入らせ、自分は後から入りつつドアをロックした。  ニリーアが通路の端のドアに達すると、ドアが開き部屋の中を見渡せた。  部屋の中央には金属製の円卓があり、白色の照明の中、円卓に寄りかかる一人の若い男がいることに気がついた。  チェスコンはニリーアに部屋に入るよう促した。 「紹介しよう。俺たちのメンバーの一人のグリナダだ」  チェスコンはニリーアの顔を見つつ、会釈で彼女に挨拶を促した。 「グリナダです。よろしく・・・」  若い男はニリーアに右手を差し出した。 「はじめまして。ニリーアと言います」  彼女は左手で胸を隠しつつ、グリナダが差し出した右手を軽く握った。 「まずは、着替えとシャワーだな・・・左の部屋に着替えとシャワーがあるから自由に使ってくれ」  チェスコンはそう言いながら、ニリーアがグリナダから離した彼女の右手と軽く握手を交わした。 「・・・それとだ・・・このグリナダは俺たちのメンバーであると同時に、俺の(かたき)でもある!」  チェスコンの言葉に左の部屋に入ろうとしたニリーアは、「えっ?!」と振り向いたが・・・  チェスコンが顎を突き出して(入れよ)と促し、 「出てきたら話す」 と付け足したので、黙って左の開き戸の部屋へ入っていった。
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