第1章 ブラック・シティ(黒の都市)section4

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第1章 ブラック・シティ(黒の都市)section4

   ニリーアがドアを開けて中央の部屋に入ると、そこにはチェスコンの姿だけがあった。  チェスコンも同じく素早くシャワーを浴びて着替えたらしく、黄土色に銀のアクセントの入ったストレッチパンツと、上半身は青と白の不揃いな縦じまストライプのボタンダウンシャツ、履き物は、深い焦げ茶のショートブーツであった。 「チェスコンさん・・・最初から私がここに来ることは分かっていたんですね?」  チェスコンのすぐ前に来ると、ニリーアはいきなり話の核心から入り始めた。 「・・その通りだ。メイドのセリテアが少し話してくれただろう」  チェスコンはそう言うと、中央の丸テーブルの横にある丸椅子に座るようにニリーアを促した。  二人が1m程離れて向かい合うように座ると、先ほどのチェルシルの部屋から、人形のセリテアが何か飲み物の入った2つの透明のコップをトレイに載せて現れ、二人の横の丸テーブルの上に置いた。 「ありがとう」  チェスコンの言葉にセリテアは僅かに頷いた。  彼女の動きは相変わらず人形のようで、必要な動作以外は何もなく、コップを置いた後はまた元の部屋に戻って行った。 「ある意味、君を(だま)して連れてきたことは申し訳ない」  チェスコンはそう言いながらニリーアに向けて頭を下げた。 「・・・だが、背に腹は代えられないというのが、今の俺たちの状況なんだ」 「・・・どういうことなんですか?」とニーリア。 「これから、ゆっくり話そう・・・その前に、せっかくセリテアが用意してくれたエナジー・プロテイン・ドリンクを飲もうじゃないか!・・多分チョコレート味だがね?」  チェスコンはそう言うと、自分の前のコップの中のチョコレート色の液体を半分ほど飲み干した。  ニリーアもチェスコンの様子を見つつ、ドリンクを1/4程飲んだが、予想以上の美味しさに思わず残りもグイグイと飲み干してしまった。  今の今まで自分が空腹であることを忘れていたが、最後の食事からもう丸2日以上経過していたのである。  そんなニリーアの様子を見てチェスコンは自分もドリンクを飲み干すと、呼び鈴を押すようにテーブルの端を人差し指で軽く2回叩いた。  すると、その動作を待っていたかように、再びセリテアが現れ、今度はサンドイッチの載った皿と、温かいコーヒーの入ったカップを二人の前のテーブルに置き、今度はチェルシルの部屋には戻らずに、テーブルを挟んで二人とは反対側に腰掛け、テーブルの上に携帯端末を乗せて何かの操作をし始めた。 「・・・空腹の状態でいきなり固形物を食べると体に悪いからな」  チェスコンはそう言うと、サンドイッチを一切れつかんで食べ始めた。  ニリーアもそれに倣い、サンドイッチを一切れをアッという間に食べてしまうと、コーヒーを一口すすり、 「続きを話してください」とチェスコンを促した。 「それでは・・驚くだろうが聞いてくれ」  チェスコンは一切れのサンドイッチを飲み込むと、両手の指を組みテーブルに乗せて話し始めた。
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