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第四夜 ねぎま
もう本格的に冬も近けえな。
日も短えし、日が傾いてくると途端に気温も下がって来やがる。
…もっとも、日が短くなったのはもっと前からだけどな。
改めて実感してる、てえ話だ。
4時を半ばも回ると「よいこのみんなはお家に帰りましょう」てえ例の放送があちこちの街灯スピーカーから鳴り響く。ちょっと割れた声でな。
商店街からの帰り道、いつもの公園に通りがかると、だがまだ遊んでいる子供がそこらに見える。遊び足りないンだろうなあ。
皆一心に、それぞれの遊びに没入してるようだったよ。
懐かしいなあ。オレにもこんな頃があった。
今は安全対策やら何やらで無難な遊具しか置かれてないところが多いようだが、オレが小さい頃にゃあまだ砂場だとか鉄棒だとか滑り台だとかがどこにでも普通にあった。
砂を掘ったり滑り台を滑ったりする、ただそれだけの事が楽しくて、平凡な町中の公園が遊園地のように思えたよ。
オレは買い物の入った袋をぶら下げたまましばし子供たちを見てた。
今日の公園にゃあナリから見るに小学校も高学年ぽい子供たちだけで、保護者らしい大人は見えなかった。
あとは散歩で通りがかったらしい年寄りだな。
遊んでる、て単に言っても千差あるし、やっぱ時代だな。
ボールを追っかけ回す、昔ながらの遊びに興じてるグループがいると思やあ、その横のベンチじゃあランドセルから携帯ゲーム機を取り出してピコピコ始めるヤツもいる。
その隣にツレらしい子が居るんだが、その子もピコピコやってる。
二人して会話も交わさず。
何もこんな公園でそんなものをやらなくてもいいと思うんだがなあ。
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