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「生きていたくない。」 そう思ったのはもう何度目だろう。何度口にしたんだろう。きっと毎日思っている。生きていたくない。僕の中では日課なのかもしれない。錆びた鎖が縛り付けている。切ろうとしても切れない。そうか。僕はこのまま生きていくんだ。なんてくだらない人間なんだ。僕というのは。いや。人間と呼べるほど人間ではないのかもしれない。云うなら 棒人間だ。ただ見様見真似で人間のフリをしている。笑ってしまうだろう。生きている棒人間なんて。棒人間も人間なんだけどね。
タイトルが「僕の世界。君の世界。」
僕という存在と 君という存在。生まれながら価値のない存在と 価値のない存在に泣いてくれる優しい存在。これから描くものは物語でもなんでもない。どう捉えてくれても構わない。批判。愚弄。それぞれ。もし。もしこれを読んでくれた人の中に共感できる。泣けたっていう人がいたら僕は倖せだろう。そんな人がいるなんて。と泣くと思う。そして感謝と君の存在に愛を。
僕は価値のない存在だ。生まれてくることを望まれなかった 必要のない存在。所謂「捨て子」だ。捨てられた。と捉えていいのか知らないが 僕が初めてこの目で捉えた景色は哀れみの目を向ける両親だった。どうしてこうなったのか。きっと理由はあると思う。その理由が解れば納得いくかもしれない。ああ。それはそれは存在価値がない奴だ。捨てられても仕方がない。と納得いった上で受け入れるだろう。残念だ。理由を知る前に僕は忘れさられた。「さようなら」と。
次に記憶にあるのがそれはそれはジェット機でも横切ったのかと勘違いするくら位早い電車だった。ボロボロのタオルに巻かれ段ボールの中で何も知らない世界を眺めてた僕だ。
このまま轢かれて死ぬのが望ましい。と描かれたシナリオ通りにはいかなかったが 死にかけではあっただろう。出来ることなら死にたかった。
世の中にはこんな素敵な綺麗事がある。
「生まれてきたのには理由があって 生きていることは素敵だ。価値のない人間なんて一人もいない」と。誰が言ってたか忘れた。が 僕はその時思った。理由があって生まれてきて 理由も知らずに捨てられるのに 価値があるとは思えない。と。素敵だな。この世界は。あまりにも非情で残酷だ。そんな素敵な世界に産み堕としてくれてありがとう。どっかの神様。
そんなことがあって今があるのだから面白いものだと思う。何があったか細かく話すと長くなるので短く書こう。
拾われた。知らない人に。拾ってくれた。こんな僕を。優しい人だった。生かしてくるだけできっと人類で1番優しい人だと思った。
僕に家族というものができた。暖かくて優しくて。物心着いた時それが一瞬で残酷なことだと知らずに。
何が残酷か。僕はきっと特別だと思う。普通なら経験しないようなことを沢山経験してきた。それについて書こう。
初めて殴られた。蹴られた。血が出た。状況を素早く判断できる脳があれば楽だったのかもしれない。僕が7歳のときだ。突然現れたその日が僕を壊していく。
初めて暴力を振るわれた日のことを鮮明に覚えている。理由などそこには存在しなかった。母と父が酔っ払っていただけだ。それだけだ。 酔っ払って殴られた。なんて言えばまだ可愛い方なのかもしれない。僕は死にかけた。初めて「死」というものを感じたかもしれない。母はこう言いながら殴った。
「お前は生まれてくるべきじゃなかった」と。
父はこう言いながら殴った。
「お前が死ねばこの家は倖せになれる」と。
僕はただ。ただ父と母の顔を見ることしか出来なかったのだ。存在価値などない。そう現実に戻してくれた父と母は 気が済むまで殴り 蹴り 風呂に沈めた。
次に「死」を感じたのは1ヶ月後の話。
直球で言うと 刺された。包丁で。
僕の身体には痣や傷が絶え間なくあった。それでもなお増えていく。1つ。またひとつ。
そうか。この傷が僕の存在意義なのかもしれない。そう思ったよ。この傷があるから僕は生きていられる。なかったら僕には本当に価値などないのかもしれない。永遠に。
僕は泣くことを知らなかった。笑うことを知らなかった。暴力を受けていようが 刺されようが 死にそうになろうが 泣くことはなかった。許されなかった。泣くという行為が。許されたことがなかった。きっと今も許されないだろう。 言わば玩具だった。ストレス発散の。玩具となったのだ。それしかなかった。選べる道は。7歳から13歳まで僕は玩具であり続けなければならなかった。
もちろん周りも助けてくれなかった。1人も。そりゃそうだ。気持ち悪いだろう。全身傷だらけの奴なんて。神様ですら助けてくれない人を誰が助けてくれるのだ。笑ってしまう。そんな人がいたらこの命 尽きるまで従い続けるつもりだよ。
僕の身体には今でも傷跡がある。腕には煙草で焼かれた根性焼きの跡が20個以上ある。一生消えない傷跡。僕に残ってるのはこれくらいだ。
きっと世界が優しかったら こんなことにはならなかったのかな。もっと笑えたかな。もっと泣けたかな。
きっと世界がもっと愛してくれたら 価値がある存在になれたかな。ぎゅっと抱きしめてくれたかな。傷もつかずにいきてこれたかな。
僕が生きていい理由があるなら もし 存在を認めてくれる人がいるなら 生きてていいよって
泣いて言ってくれる人がいるなら それはきっと奇跡と呼んでいいと僕は思う。
そしてそれに名前を付けるなら。
続く。
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