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滅亡日和?
「やべぇっ…」
その光景を見た瞬間、俺の全身は硬直した。何故?こうなった?俺のせいか?いやいや、
違うこれは大気とか、放射能の影響だ。きっと…
そう思い、俺はもう一度、淡い光と冷たい大気迸る冷蔵庫の中を見つめた。
「プリンがねぇっ…」
しかも、コイツは只のプリンじゃない。生産終了がwebに載っていた、
超限定プリン。ある意味、この世で最後のプリン…それがない。
「あかんっ…」
冷静になれ、自分。俺は甘党ではない。食べる筈はない。ましてやプリン…あの黄色い部分は何とか許容できるというものの、底の黒茶色は超苦手。食える筈はない。故に食ってない。
そう思い、口に手を当てる自分に衝撃が走る。口元及び、唇周りに何やら柔らかい肌とは
違う異質物の反応アリ?まさか、これはっ!?恐る恐る、拭うように離した手に付着する
黄色い物体…
「マジかよ…」
記憶が急速に逆再生。そう言えば、昨日は“前夜祭”と称して一緒に祝杯を上げた。
したたか飲んで、多いに酔っぱらった。アパートに帰り着いたのは明け方…
小腹が空いて、冷蔵庫にあるモノを食った。それがこのプリン…
驚愕に震える自分のすぐ後ろで軽い衣擦れの音が響き、安ベットが軋み、
“彼女”の目覚めた音がする。
「あたしのプリン…食べちゃった…?…」
可愛い声には、途切れ、途切れの失望と絶望が混じる。不味い、この子は
超絶メンヘラ系…今、ここでテンションいっきに下降は非常に不味い。
「だ、大丈夫!すぐに買ってくる!」
「でも…webで…」
「webは信じるな。任せろぃっ!」
二日酔いでガンガンの頭を抱え、外に飛び出す。代わりを用意せねば!
文字通り命に代えてでも…
なんせ、彼女は“魔法少女”しかも今日はその最終決戦当日…せっかくの
終戦日和が滅亡日和に変わる事だけは避けなければいけない…(終)
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