6568人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、準備も終えて部屋に戻ると、末森はベッドに突っ伏してしまったのだった。
「末森マネージャー…?」
「も、ダメ…。今日は早起きだし、乗り継ぎ便だし、」
「夜店、いいんですかー?」
先程聞いた夜店に夕ご飯を食べに行こう、と話していたからだ。
「んー、後でホテル棟のコンビニで、スパムおにぎり食べる。すっごく美味しそうだったから。」
「じゃあ、買ってきますよ。」
「ホントー?よろしくー。」
サンダルを履いてホテルのロビーに向かうと、シャツとパンツ姿の大藤がいる。
「お一人ですか?」
大藤はにこり、と由佳に笑顔を向けた。
「はい。」
「ご案内、しましょうか。」
「はい!」
デートだぁ!嬉しいっ!
「今日は成田家と元宮家は一緒にお食事だそうです。レストランの予約も済んでいますし、手配は万全なので、俺もフリーです。」
「嬉しい。」
「俺もですよ。それに…、そんなに嬉しい、を全開にされたら、今すぐ部屋に拉致したい位です。」
「え…」
「ても、海外でこんな風に過ごす機会はないでしょうからね。ご案内、しますよ。」
フロントに歩いていった大藤は、さらりと英語で、タクシーを依頼する。
どうしよう、すっごくカッコよくて、どきどきしちゃう。
「久信さん、英語もペラペラなんですね。」
「日常会話程度です。ペラペラと言ったら翔馬さんの方がペラペラですよ。あの方は英語で交渉しますから。
俺もまあ、タクシーを呼ぶくらいはね。さすがに、コールミータクシーとは言わないですよ。」
ん?私にタクシーを呼んで…ではなく、私をタクシーと呼んでくれよ!くらいかな。
「っふ…あははっ…」
完全にツボに入る由佳だ。
最初のコメントを投稿しよう!