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顔を真っ赤にして、照れているのが可愛いから。
時折、誤って肌に触れてしまって、慌てて手を引っ込めてしまうのも可愛い。
こんなに、奥ゆかしいのに、いざ、となると途端に、驚くほど大胆になることがあるのだ。
その時は、大藤を信頼して、気持ちを預けてくれているから、こんなに大胆なところを見せてくれているのかと思うと、ますます可愛い。
「え…っと、下も?」
「もちろん。」
そんなあれこれを考えていたから、臨戦態勢なのは仕方ない。
由佳は一瞬、迷って、ズボンを下ろし、トランクスに手を掛けて、ふと、恥じらう。
その間に、大藤も由佳のパーカーを脱がせ、ショートパンツを下げていた。
意を決したように、由佳が下着を下げたので、大藤は、足をどかした。
「お風呂、入りましょうか。」
「え…あの、…それ…は…。」
由佳の目がそっと逸らされつつ、そこ…と、指をさす。
「いろいろ考えていたら、つい…ね。あとでしっかりこの分は回収させてもらいますから、大丈夫ですよ。」
「回収…。」
大藤がにっこり笑うと、由佳が笑顔を一瞬引きつらせたのは見ないフリをした。
洗面所の分は、しっかりベッドで回収し、眠ってしまった由佳を見て、大藤はその髪をさらりと撫でる。
すやすやと寝ているその姿は、愛しくて守りたいものだ。
「必ず守りますからね。」
サイドテーブルに置いていた眼鏡をかけて、大藤はベッドを降りる。
そして、書斎に向かった。
ドアを開けると、壁際の本棚から迷わず1冊のファイルを、取り出した。
まさか、また使う日が来るとは思わなかったが…。
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