第1章 北の大地だ、ジンパでほい

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「そしてランチどころか晩御飯まで食べる時間がなくなって、夜中も測定するハメになると」  由加は首を大きく振る。その姿勢のまま試料室の大気開放ボタンをクリックした。ぷしゅっと空気が入る軽い音が室内に広がる。 「そして『ペンギン』が見えると」  うう、と朋子は身を縮めた。 「私には見えないけど、朋子センセには見えて、それで仕事の邪魔をするとなると問題よね」 「呆れてる?」 「朋子センセと知り合ってまだひと月足らずよね。そんな私にもしっかりとわかるほど朋子センセはペンギンで騒いでいるのよ。わかってる?」 「ご迷惑をおかけして」
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