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ことのはじまりは2月である。
博士課程の学位審査がなんとか終わり、研究室の学生部屋で同期から「26歳でするっと理学博士の学位が取れるなんて。岩ポンのコネなのか」となじられ、「だったらあんたが岩ポンの世話をしなさいよ」といい返し、「冗談じゃねえよ。過労死させる気かよ」といい返されているときであった。
当の岩ポンが「おう、朋子」と書類の束で朋子の頭を叩いた。
「お前の推薦状を送っといたからよ」
「推薦状? どこに。なんの」
「お前、就活してねえだろう」
「えっとあの、今年通るとは思ってなかったから」
「あんだけ論文書いてて通らねえわけねえだろうが」
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