第1章 北の大地だ、ジンパでほい

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「えっとあの、今年通るとは思ってなかったから」 「あんだけ論文書いてて通らねえわけねえだろうが」 「先生の代わりに書いたものばっかりだし。まあその、博士研究員(ポスドク)で雇っていただけたらいいなあって」 「そりゃお前は俺のほとんどのプロジェクトの研究協力者だから悪かねえ案だけどよ。それだっていつまでもここにおいとくわけにゃいかねえだろ」 「基盤研究Sなんて通っちゃったし」 「俺の科研費取得率をなめんなよ? この業界トップだぜ」 「ここ数年はわたしが先生の科研費申請書を記入したんですけど」 「博士号取れたんだから晴れて研究者番号を取得できるな。さっさと取っておけよ」 「えっと、それで推薦状って?」  ほれこれ、と岩ポンは朋子を叩いていた書類をひらいた。  北海道立蝦夷(えぞ)大学助教の公募、とあった。
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