第1章 北の大地だ、ジンパでほい

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道大(どうだい)? 助教? わたしが? ここに出した?」  岩ポンはニヤニヤと笑っている。朋子は書類をひったくった。  ──北海道立蝦夷大学・工学研究院環境地質工学分野、勤務形態・常勤、勤務地・北海道札幌キャンパス、うんぬん。 「ただの常勤じゃないぞ。任期なしだ。いまどき五年任期つきじゃなくて最初から任期なしなんてめったにないぞ」  わかる。それがラッキーなことはわかる。だがしかし。  血の気が引いていく。ぽぽぽんとペンギンたちも背中から飛び出す。 「工学研究院って? 工学部? わたしが取得できそうなのは理学博士で」
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