第1章 北の大地だ、ジンパでほい

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 顔をあげると岩ポンが学生部屋から出ていくところであった。いいたいことは終わったし、朋子が自分に逆らうとは思ってもみないのだろう。  わたしに選択肢はないのか。  朋子は身もだえる。  このままボスの言動に流されていいのか。北海道だよ? 北の大地だよ? それも任期なし。ひょっとしたら65すぎまでずっと北海道。  だがしかし。  岩ポンの異名は「ごり押しマイスター」。  ごり押しの天才に何をいっても無駄である。研究室配属になった大学4年からのべ6年間。朋子の意見が通ったことなど1度もない。
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