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ペンギンが目の前を歩いていた。
1羽ではない。2羽でもない。10羽以上である。それも黄色いくちばしが鮮やかなコウテイペンギンである。
「あれぇ?」
朋子は間抜けな声を出して目をこすった。朋子のショートボブヘアがふわりと揺れる。ペンギンたちは消えない。フリッパーを動かして、自由きままに室内を歩いていた。
水族館でも動物園でもない室内。それも自宅アパートではない。
大学の共用施設内だ。
大量の電力を使う大型装置が五台並び、壁も天井も床も白い室内であった。その中を10羽以上の大型ペンギンが歩いていた。
幼児サイズのペンギンなので見わたすかぎりのペンギンともいえる。
うわあ、と朋子は顔をしかめる。
「ペンギンが出るほどまだ測定していないのに」
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