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由加が立っていた。
装置担当の技術職員。無造作にまとめた長い髪が大人の貫禄をにじませる長身の女性であった。既婚のせいだろうか。3歳しか年上ではないのにずいぶんと落ち着いた雰囲気の女性であった。
由加はいい聞かせるようにゆっくりと続ける。
「常識だと思って装置取り扱いマニュアルに書かなかったけど、加えたほうがいいからしら」
「だってペンギンが」
「ペンギン?」
由加は首をかしげて室内を見た。学内外の研究者に開放されている施設ではあるが、いまは朋子以外の利用者はいなかった。
ついでにペンギンたちの姿もない。あいつらってば。どういうこと? 由加さんがきたからいいってこと? いいって何がよ。
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