第1章 北の大地だ、ジンパでほい

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 朋子センセ、と由加が朋子の小柄な肩に手をおいた。 「たくさん使ってくれてうちとしては嬉しいわ。でもね。程度ってものがあるの」 「岩ポンからどんどん試料が届くし。ゆっくりしてたら終わらないっていうか座る場所もなくなっちゃう」 「岩嶋(いわじま)先生だっけ? その件は聞いたけど」 「早くやらないと試料がおかしくなっちゃうし」 「何それ」 「リストの順番どおりに並べておいたのに。測定しようとしたら順番がバラバラになっていたり」 「転んだの?」 「わたしの試料って薄片(はくへん)が多いの知ってるでしょ。スライドガラス仕上げなんだもん。転んだら割れちゃうじゃん。そんなヘマはしないよ」 「まあそうよね。それで? この試料はこれで終わり? まだ続けるの?」 「終わる」
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