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ふとポルポラが感嘆の声を上げた。
「わあ、すごい。全部、金ですね」
棚に飾られた金のトロフィー、メダルーー私が今までに受賞した、栄誉を象徴する品の数々だった。
私は苛立ちを隠し、彼女に微笑みかけた。
「私はね、金がーー 一番の色が、好きなのですよ」
「一番の色、ですか」
「ええ。何事も、一番でなければ意味が無い」
彼女は不思議そうな顔をして、再びそれらを見つめた後、少し遠慮がちに口を開いた。
「あの、確かに一番はすごいと思いますけど、」
「はい」
「二番とかでもすごいと思います。でも、それには意味が無いのですか?」
その言葉に、心臓が跳ねるのを感じた。
複雑な感情が、私の心に去来する。それは懐かしさ。悲しみ。怒り。後悔。さまざまな色が入り混じり、一言で表現することはできない。
私は気取られぬようその感情を鎮めると、作り笑顔を浮かべて彼女に言った。
「ええ、意味がありませんね」
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