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二人の為に用意した料理が並ぶ食卓に、剣士の声が響いた。
「ポルポラ!食べるな!」
料理に盛った毒が回るまで、約三十分。
私は少しばかり時計に目をやり過ぎていたらしい。気付いた剣士の観察眼に、素直に感心した。
だが、もう遅い。
二人はすでに十分な量の毒を口にし、十分な時が経っていた。
最初にポルポラが倒れ、それを助けようとした剣士も、後を追うように意識を失った。何とも他愛のないものだ。
しかし地下牢に縛り付けた不死の魔女は、不死の秘術について、やはり一切口を割らなかった。
「不死は魔法なんかじゃない、呪いなの……。決して良いものじゃない」
訊いても返ってくるのは、同じ答えばかり。私はいささか退屈した。
不死が、良いものではないだと?
そんなこと、当たり前だろう。
私は思わず鼻で笑った。
ポルポラは、一つ大きな勘違いをしている。
私は不死の秘術で、永遠の命を手に入れたいのではない。
私が欲しいのは、不死の秘術を解明したという栄誉だ。
それこそが私が辿り着いた、一番優秀な研究者で在る為の、答えなのだ。
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