Marigold -2-

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 一ヶ月間の療養を終え王都に戻ると、それからは新薬の研究だけに集中した。  学会には姿を見せなくなった。  スポンサーから実績を作ってくれと言われれば論文くらいは投稿したが、新規性や独自性が以前より欠けたそれが、一番の功績を収めることは少なくなっていった。  そしてある日、スポンサーは言った。 「悪いけど、君との契約は解除させてもらいたい」 「そんな……どうしてですか?」 「君は、以前より研究者としての功績が下がっているじゃないか。この研究は君に任せてきたけれど、開発の権利を持っているのは私だ。今後は、他の研究者に引き継がせたい」  あまりにも呆気なく、切られた。 ******  私の後を継いだ研究者は、私より優秀ではなかった。  だから新薬の完成は遅れて、私の母は助からなかった。  母は聡明な人であったが、最後の最後に誤ったのだ。  彼らに必要なのはやはり、一番優秀な研究者だった。  だから母の死は、私がその座にいる努力を怠った、罰だ。  私は母の墓前で、曇天の空に向かって叫んだ。
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