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まともに就活せずに大学を卒業した私は、結局そのまま坂田さんのスタジオにお世話になることになった。一応は正社員。給料的にはアルバイト時代よりも良くはなったが、食べていくのにギリギリ、というくらい。相変わらずアシスタントを続けながらも、私は仕事で時々自分でもカメラを持って撮影するようになった。と言っても、人を撮るのが昔から苦手だった私は、いわゆる静物撮りをメインに任された。地元のガイド誌に載せる記事のための写真。時にはライターさんと一緒にラーメン屋やレストランに赴いて料理の写真を撮り、そのままごちそうになることもしばしばだった。
もちろん休日は自分の写真を撮りに出かけたりする。そうして撮った写真をフォトコンテストに応募している。だけど……全く入選しない……
いつも「もう少しで入選」というところから上がれないのだ。
坂田さんにも相談してみたが、
「俺には何もアドバイスできねえな。言えるような立場じゃない。俺だって雑誌に載るような写真を撮ってるカメラマンじゃねえからな」
素っ気なくそう言って、彼はすぐにその話を終わりにしてしまうのだ。そんなことが何度か続いた、ある日のことだった。
フォトコンテストの結果発表サイト。入選作品の撮影者の中に、よく知ってる名前があった。
私の写真部時代の後輩だった。入部当時は初心者だったが、同じ女の部員と言うことで、私が手取り足取り教えたのだ。もちろんそれは坂田さんからの受け売りがほとんどだったが。
彼女は未だに学生のはずだ。それなのに全国レベルのフォトコンテストで入賞するなんて……一応プロの端くれの私が落選し続けているのに……
私は激しく打ちのめされた。今更ながら、自分の才能の無さに嫌気がさす。そして、そんな気持ちが素直に顔に表れてしまうのが、私の悪いところだ。
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