ニ、鬼も浮かれる。

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「酷いな、感動の再会じゃァないですか」 「感動も再会もあったもんか」  鼻を鳴らして顎を上げておいて、ツと視線をこちらに戻す。 「で、何考えてやがったんだ、総司のくせに」 「うーん……?」  総司は首を捻った。何か考えていた気がするが、すっかり忘れてしまった。それに、大したことではない気がする。  総司は重大でないことはすぐ忘れる。  それが、本人にとってのものさしで重大かどうかが計られるわけだから、時として人を呆れさせもしてきた。例えば、この土方歳三とかをだ。 「何でしょう。忘れてしまった」 「まァ、いい」  土方はぽつりと独りごちると、両手を袖口の下で組んだ。 今度は彼が何やら考えているらしく、背けた顔の先で、ぼんやりと黒い双眸が据わっている。
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