ニ、鬼も浮かれる。

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「……」  何となく、邪魔をしたくなくて、総司も童子のように大きく首を傾けながら、袖口の下で腕を組み、同じ方角を振り返って見た。  祭りの提灯が、赤々と灯っている。それが夜闇と競うようにして、茫洋と赤を滲ませ、黒と赤がしぜん気分を高揚させる。  どっと衝撃があり、総司はよろけた。 「あっ」  機敏に踏みとどまる。  さっと視線を走らせると、総司の腰ほどの背丈しかない子供が、ぽかんとこちらを見ていた。 同じような顔の子供がふたり近くにいる。戯れているうちに気づかずぶつかってしまったのだろう。 「おっとっと」  総司は相好を崩し、おどけてよろけて見せた。 「夜更けまで遊んでいる悪い子はどこだァ」 「きゃーっ」  腰をかがめ、両手を顔のそばで構え獣の振りをする総司を見、三人はカン高い笑い声を上げて駆け出した。
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