四、馬鹿の夏風邪。

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 珍しく長く愚痴り身体を起こしかけた土方を、うちわで畳の上に追い返しながら、総司は溜め息をついた。 「早くよくおなりなさいよ。ただでさえこう暑いのに、あんたがお蒲団で達磨さんやってるもんだから、暑苦しくてかないません」 「達磨にしやがったのは、てめえだ」 「そうでしたかな」  こてんと頭を横に倒してとぼける。  夏風邪は温めるのがいいのか、冷やすのがいいのか、あとで山南さんに訊いておこう、とひとりうなずいた。 (達磨さんはお達者かな)  隊士の剣術指導を終え、総司はふたたび土方の部屋へ飛び込んだ。 「お加減はいかがですか」  ふすまをそっと後ろ手に閉める。  土方は眠っているようだった。蒲団は相変わらずこんもりと山を作っている。
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