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珍しく長く愚痴り身体を起こしかけた土方を、うちわで畳の上に追い返しながら、総司は溜め息をついた。
「早くよくおなりなさいよ。ただでさえこう暑いのに、あんたがお蒲団で達磨さんやってるもんだから、暑苦しくてかないません」
「達磨にしやがったのは、てめえだ」
「そうでしたかな」
こてんと頭を横に倒してとぼける。
夏風邪は温めるのがいいのか、冷やすのがいいのか、あとで山南さんに訊いておこう、とひとりうなずいた。
(達磨さんはお達者かな)
隊士の剣術指導を終え、総司はふたたび土方の部屋へ飛び込んだ。
「お加減はいかがですか」
ふすまをそっと後ろ手に閉める。
土方は眠っているようだった。蒲団は相変わらずこんもりと山を作っている。
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