四、馬鹿の夏風邪。

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「む」  覗き込んだ総司は、よく動く眉をしかめた。  さっと立ち上がり、調理場へ足早に向かう。 「すみません」  賄い方が昼食の盛り付けをしていた。  総司は人懐こく、よく菓子やら頼みに行っていたから、幹部でありながら顔なじみが多い。 「沖田さん、どうしました」  一人がすっ飛んでくると、総司は困ったような曖昧な笑みを浮かべた。 妙なところで照れ症な男なのだ。急に照れが来た。 「あの、ほしいものがあって」 「へい、なんでも」
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