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「飲み水と、それから桶に水を貰いたくて」
「お待ちを」
一瞬、奇妙な顔をされたが、すぐに彼は奥へ引っ込んで行った。
「これでよろしゅうございますか」
「ありがとう、助かりました」
大きな盆に載せてある。
桶の横には清潔な手ぬぐいが置かれていた。気の利く青年である。
盆を手に、早足で副長室へ引き返す。
先を急ぐ総司を珍しがり、何度かすれ違う隊士に声をかけられたが、曖昧に笑って誤魔化した。
「総司です。失礼しますよ」
言いながらふすまを開け、総司は室内へ踏み入れた。
外は少し暗い。一雨来そうだ。盆を畳に置き、雨戸と障子を閉めた。
土方はまだ眠っているらしい。
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