一、馴れ初め。

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「おうよ。天才剣士総司さんよ」  急にぞんざいな口調になる。 口元に浮かんだのは、笑みというには少しばかりひねくれていた。 「そう、その事なんですけどね」  沖田は顎に手をやり、うーんと唸ってみせる。 「どの事だ」 「天才剣士、という事です」 「自分で言うか」 「近藤先生が言うなら、そうなんです」 「ねんねめ」 「残念ながら十五なんですよ」  ぽんぽんと言葉が交わされ、沖田はついくすりとした。  この人とはぞんがい、上手くやって行けるのかもしれない。 「入門前に、わたしと手合わせしたアレ」  人差し指をぴっと立てる。 釣られたのか、トシサンの視線がそちらへ向いた。  手合わせの後、井戸水で顔を洗った。 汗を落として頭を冷やすと、ふっと思い当たったのだ。  何が違ったのか。何に泣きたくなったのか。ひょっとするとトシサンは、 「本気じゃなかったんじゃないですか?」
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