小説①

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熱く長く続く唇の絡み合い、女性の下唇が柔く、僕の思考が飛んでしまいそうになる。 女性は、僕の肩から首に腕を絡ませ、やわらかく温かで、よく実ったはちきれそうな胸を、僕にあずけている。 なにもかも・・・女性の名も知らず絡み合う身体と身体。 部屋のベルがなる。  「チュぱっ」 僕からはがれ・・・  「朝食、一緒にどう?」 薄手の衣を身体に纏い、ドアのほうへ・・・ 我にかえった僕は、自分の服を素早く取り着替える、ズボンに足をとおしながら転びそうになり焦った。 ホテルのスタッフと女性の間を走りながらすり抜け部屋を後にした。   「待って。」  「バタン。」 部屋から出て廊下の端を、頭を少しさげながら急いで帰る道をさがした。 エレベーターの停止する音を頼りに向かい、 開いたエレベーターから降りる男性。 すれ違う時に、チラッと見てしまった。
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