小説①

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 「なんだ!?今さら・・・」  「着替えるわ。」 小百合は立って、奥の部屋へ・・・ 追いかけ、正信が腕をつかみ席に座らせた。  「座ってろ、食事中だ。それともふたりで奥にいくのか?」 小百合は渋々、パンや卵、サラダを口に押し込んで・・・   「ごほっゴホ。」 正信はグラスに水を注ぎ、小百合の前へ。  「あわてるな、ほら。」  「ゴホッ・・ありがと。」 小百合を見つめながら正信は、昔を小百合の向こうをみて思い出していた。 小百合の髪の(におい)や、下唇の柔い感じに顔全体を覆う熟れた()。 君の汗の香りに狂いそのままベッドに押しつけ、滴る蜜に顔をうずめいた。 君の肌が桃のように淡い赤にかわる頃には、ふたりして夜通し抱きしめ合っていた日々。
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