大発見

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大発見

 南極の氷床の亀裂に落ちて凍ったペンギンが発掘された。  すぐさま、それは運搬用の冷凍庫に保管され、アメリカにある冷凍人間保存の会社アリコ―に送られることになった。  アリコ―の研究所に勤務する生命科学者でもあり、外科医でもあるジョン・エバンスは、ペンギンの細胞を観察した時に、マイナス50℃で氷漬けになっても、生き延びていた不思議な微生物を発見した。  最初は氷が解けたせいで、微生物が発生したのだろうかと思ったが、単細胞でないことから、微生物ではないことが分かった。  Dr.エバンスは、その生物を再び凍らせてみたが、驚くことに、凍る段階で分裂が始まった。 『こ、これは、新種の生物だ! 』    そして、研究を重ねるうちに、この生物は百本の触手を持つ微生虫であることが分かった。  微生虫の周りに何体かの小動物の死骸を置くと、いくつかの触手が微生虫の身体から離れて探索しにいく。そして生きていないと分かると、また元の身体に戻ってくる。    では、とDr.エバンスが病気に侵された小動物を置くと、偵察に行っていた触手が本体になんらかの信号を発したのか、本体は残りの触手を足のように使って動き出し、小動物の身体の中に入っていった。    この発見は、アリコ―の研究所内の生物学者や科学者はもちろん、アリコ―が経営する病院の外科医までが注目し、冷凍実験に使えないだろうかと大いに意見が交わされることになった。
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