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「すみません、お願いしていいですか?」
「もちろんじゃ。どこまで乗って行きんさるかね?」
おじさんは愛想よく答えた。
「宮島桟橋まで。途中で風景や名物の説明をお願いできたら嬉しいです」
「まかせんさい」
おじさんは白い歯を見せてにこっと笑った。
「ここは長い歴史のある所じゃけえ、知らん人は気付かずに通り過ぎてしまう所でもいろんな故事来歴があったりするんよ。詳しゅー説明して行ってあげるけぇね」
「ありがとうございます」
「宮島桟橋まで案内しながら行くことで、二千円いただいてえーかね?」
「はい」
「じゃあ、車に乗ってつかぁさい」
俺は、おじさんが人力車の前に置いた踏み台を使って人力車に乗り込んだ。
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