読書日和

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読書日和

鳥のさえずりが遠くに聞こえ、うっすらと目を開ける。カーテン越しに差し込む光が室内を優しく照らし出している。 上半身だけをベッドからお越し、腕を上げてグッと身体を伸ばした。 それだけで一気に視界が晴れて覚醒する。 ベッドから抜け出してカーテンを開ければ、予想通りのカラッと晴れた青空が広がっていた。 今日は読書日和だ。 「坊っちゃま、朝食の用意ができました」 「今行くよ」 定刻きっかりに使用人頭に声をかけられ階下へ向かう。 これは大学進学以来の習慣だった。 七時に朝食、八時から九時半まで自室で読書、そして十時からの講義に出席する。 読書はたいてい室内の安楽椅子で行なっているが、これぐらい天気の良い日はベランダに簡易な椅子を出した。 ベランダは北側にあるため直射日光は当たらず、爽やかな風を受けながらの読書は心地良い。 そして何より、 「ふんふん、ふーん……」 階下から聞こえてくる鼻歌。 若い使用人の娘が楽し気なメロディを奏でながら洗濯物を干している。 パンっと軽快に広げられた布をチラリと見てから、僕はまた鼻歌をBGMに文字の世界に浸った。
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