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すとんと席に着くと、隣の村田さんが顔を上げました。
「赤木さん、どうしたんですか。顔色が悪いですよ。外、寒かったんですか」
そうでした。
そう思った途端、ぶるっと寒気がしました。
「もしかして、熱があるんじゃないですか」
村田さんが私の額に、手を当てました。
部屋の中にいて、暖かいはずの村田さんの手が、冷たく感じます。
「やっぱり熱いです。帰った方がいいですよ」
「……でも、今日の分、入力できてないし」
そこに、小谷さんが戻ってきました。
「主任、赤木さん、熱があるようなんです」
すぐさま、小谷さんは眉をしかめました。
「まさか、インフルエンザじゃないだろうな」
それは、とても私を心配している口調ではありません。
休んだら、その間の仕事はどうなると思ってる。
えー、うつすなよ。
そんな気持ちが手に取るようにわかります。
それは、私の心をガボリとえぐりました。
もう、無理して居ることないですよね。
「あの、早退します。後をお願いします」
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