3月1日

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3月1日

 予想していたとは言え、宣告されるとショックですね。  今日、課長から呼び出されて、更新はないと言われました。ものの5分もなかったと思います。  ぼうっと洗濯物をたたんでいると、梨花が国語の教科書を持ってきました。 「音読聞いて。『たぬきの糸車』だよ」  ここしばらく、この宿題です。すらすら読めるようになりました。愛らしいたぬきが目に浮かびます。    すると、浩夢も絵本を持ってきました。『ぐるんぱのようちえん』です。 「ママ、今日はぼくが読んであげるね」  ぐるんぱは、ぞうです。大人になり働きに出かけます。  でも、ビスケット屋さんでもくつ屋さんでも、どこでも規格外のものを作って「もうけっこう」と、やめさせられます。 「ぐるんぱは、しょんぼり、しょんぼり、しょんぼり。ほんとにがっかりしました」  浩夢のたどたどしい声でも、ぐるんぱの無念さが胸をつきます。  ああ、ぐるんぱは私です。  今まで何度もこの本を読んだのに、今日はあまりにも身につまされます。 「ママー、どっか痛いの?」 「ううん、痛くないよ」 「でも、泣きそうな顔してるよ」 「泣かないよ」 「あのね、泣きたい時は泣いた方がいいんだって」  大人も、泣いていいんですか。
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