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1時になる、一歩手前でフロアーに滑り込みました。あちこちで電話のコール音が鳴り始めました。キーボードを打つ音も聞こえてきます。おしゃべりをしていた山崎さんや三木さんも、入力画面に向き直り表情が引き締まりました。私は席に座って、息を整えます。
更新にならなかったことをまだ誰にも話していません。
パートの仲間にも、村田さんにもです。
だって、みんなはそのまま更新するんですよね。私だけ切られるんです。そんなの、自分は能無しだと、言って回るようなものです。
一か月、みんなから憐みの目で見られるのは、耐えられないです。
ばかげてますか? 一寸の虫にも五分の魂です。私にだって、プライドありますよ。
夫にも話していません。
前に、心配してくれましたが、基本的に厳しい人なので、言い辛いです。
夫が昨日、会社であったことを話していました。夫は環境系の会社の総務をしています。
「派遣会社に重機を使える人って頼んだのに、来た人は、全然できん人やったから、1時間で帰ってもらった」
人を使う側の人間は、こういうものなんだと、心が冷えました。
まるで、1時間で切られた人が自分のように感じたんです。やっぱり夫には、私の愚痴なんて、話せないと思ったんです。
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