3月16日

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 村田さんのおかげで、お昼までに入力できました。 「ありがとうございます!」  村田さんは、鼻の上部にくしゃっとしわを寄せて、笑いました。  またお弁当を会議室でササっと食べて、パートバンクに行きました。  柴山さんは接客中でした。  私は検索画面で、他にどこか私に合いそうなところがないか、探してみました。3か所ありました。  柴山さんの手が空きました。 「あ、赤木さんどうしましたか」 「この間、申し込みしたところから、面接の日取りの連絡がないんです。やっぱり、ダメなんでしょうか」 「では、確認してみますね」  柴山さんは連絡をとってくれました。 「赤木さん、面接できるそうですよ。自宅には今日あたり、郵便で通知が届くそうです。面接は、来週の水曜日20日の4時からです」  私は、一筋の光が差したように思いました。  受かってもいないのに、ほっと安心しました。  でも、やはり不安はあります。 「本当に資格が無いのに、受けていいんでしょうか」 「でも経験があって、本が好きなんでしょう?」 「はい! 読み聞かせで小学校に、3年行っています。子ども図書館のスタッフもしています」  柴山さんはにこっと笑うと、うんうんとうなずきました。 「そうですよ。面接でもそうやって、自己アピールしてくださいね。何より、挑戦することが大事ですからね」 「はい!」  挑戦する。  そう、私は自分の人生を切り開く権利がある。  そうですよね? 勇気が湧いてきました。  
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