ちゃりん丸・1

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ちゃりん丸・1

 今日、貯金箱が死んだ。  と言いながら、厳密には、今日だったのかどうかはわからないし、昨日の夜の時点で既に息絶えていたのかもしれない。  死の瞬間をこの目で確認したわけじゃないから。 『やぁ、ボクはちゃりん丸。貯金箱だよ』  その貯金箱は言葉を話し、小銭をエサにしていた。  貯金“箱”といいながらも立方体ではなく、まるんとした球体だった。  真ん中には液晶パネルがあり、そこにはドット絵の目が描かれていてコンディションによって表情が変わる。  時間が経てば『お腹すいたよ~』と鳴いては目をバッテンにさせるので、その都度ちゃりんちゃりんと小銭というエサを与えてやらなければならなかった。  その子がお腹を空かせれば家族の誰かが必ずエサを与えていたし、鳴くとうるさいからというのもあって、丹念に世話をしていたつもりだった。
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