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それからはもう、夢見心地だった。
女の子が石みたいなものを投げつけて犯人を倒したぞ、とか、あれは固いボールのような物だったぞ、とか、いろいろ言われて。
警備員のおじさんや行員の男の人、そして最初に話し掛けてくれたお姉さんにも「大丈夫?」「大丈夫?」とたくさん心配されて。
パトカーのサイレンの音とか聞こえて、駆けつけてくれたお母さんの顔を見て安心して泣いて。
「何ていう無茶してんの!」ってちょっと怒られて。
お母さんも「こんなことになるなら銀行に一人で行かすんじゃなかった」とか「でも無事でよかった!ホントに無事でよかった!」って泣いて、そんなお母さんに抱きついて私もわんわん泣いて。
もう、力が抜けて、すぐには動けなかった。
生まれて初めて一人で銀行に行った日に、こんなことになるなんて。
ああ、今日という日は、本当に。
本当に──……。
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