17人が本棚に入れています
本棚に追加
あの後、犯人に当たった後に床に落ちたボクは、壊れました。
電池のフタは欠損してネジが飛び、“内蔵”の回路もいかれてしまいました。
だから、本当にさようならです。
カナちゃんがボクにくれる、なけなしの百円が好きでした。
ギザ10も、昔の五百円玉も。
中でも、カナちゃんが生まれた年が刻まれた硬貨が一番好きだったな。
だってカナちゃんが、嬉しそうにくれたから。
お金もたらふく貯えられて人の命も救えるなんて、最後の最後で貯金箱冥利に尽きるよ。
カナちゃん、本当に今までありがとう。
ボクにとっても、今日という日は本当に。
本当に───……。
───────
────────………
「──ちゃりん丸……」
最初のコメントを投稿しよう!