ちゃりん丸・2

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 あれ?  カナちゃんの声が聞こえる。  久しぶりに名前を呼ばれた気がするぞ。  ──そうか。  ボクは、死んでいなかったんだ。  そもそも電池切れのボクが改めて命を落とすこともないし、そもそもおもちゃにとって死ぬことって――。  ああ、そうか。  おもちゃにとって死ぬことって、壊れた時じゃなくて。  人に忘れられた時だったんだ。 「ちゃりん丸……。ごめん……投げてごめん……。バラバラになっちゃった……」  銀行の床に落ちたボクを拾い上げるカナちゃんの声は悲しくて、その手は優しくて。  ──大丈夫。  大丈夫だよ、カナちゃん。  カナちゃんがその名前を呼んでくれるなら、ボクは壊れないよ。  ボクは死なないよ。  咄嗟にボクを投げつけるような無茶をするカナちゃん。  何年一緒にいたと思ってんの。  そんなことでボクが死ぬわけないじゃないか。  だから泣かないでよ、カナちゃん。  声の出ないボクは、それでもカナちゃんの涙を止めたくて、一生懸命心の中から語りかけていました。
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