ちゃりん丸・2

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 ──────  ────────………  あれからボクは再びカナちゃん家のリビングに飾られて、貯金箱を続けることになりました。  時々、お客さんも見えます。  その中に、あの時の行員のお姉さんもいました。  あの出来事がきっかけで、カナちゃんとお姉さんは仲良くなったのです。  お姉さんはあれから数年後に結婚をしました。  それからまた数年、生まれたばかりの赤ちゃんをカナちゃんの家に連れてきました。  その子はボクを指差して「ぼーる、ぼーる」と楽しそうにはしゃぐのです。  カナちゃんが大人になると、ボクはその子の手に渡りました。  古びて壊れたボクだけど、人から人の手へと渡り、巡り巡って生きていくことができるんだね。  それってなんだかお金みたいじゃない?  カナちゃんが銀行強盗をやっつけたあの日、駆けつけたお母さんに言った一言を、今でも思い出します。 「ねぇ、お母さん。今日は本当に、忘れられない1日だったよ」  ボクにとっても、その日は忘れられない1日になったよ。  だってね。  ボクがカナちゃんの勇気で、新しい魂を吹き込まれた日だから。  ちゃりん。ちゃりん。  ボクの中で、今日も魂が吹き込まれる音がする。  ボクはちゃりん丸。  これからもずっと、誰かの貯金箱だよ。 【end】
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