ちゃりん丸・1

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 それから学校が終わり一旦家に帰ると、私は貯金箱を抱えて近所の銀行に向かった。  一人で銀行に行くのは初めてだった。  しかも中学生の身空で、おもちゃみたいな貯金箱を抱えて銀行に入るなんて、恥ずかしいことこの上ない。まるではじめてのおつかいだ。  この貯金箱自体一見すると丸いおもちゃにしか見えないかもしれないけど、そもそもおもちゃを抱えて銀行に入ること自体おかしい。  学校の知り合いに会わなきゃいいな……まぁいないだろうけど、とか、貯金箱と一緒にそんな幾何(いくばく)かの不安も携えて、私は銀行に足を踏み入れた。 (両替ってどうすればいいんだろう) 「いらっしゃいませ。どうされました?」  入るなりキョロキョロすると、絶妙なタイミングで案内係のお姉さんが声を掛けてくれた。  とても綺麗で、笑顔の素敵な人だと思った。 「あ、あのののの、りょ、両替を………」  緊張して噛みまくる。恥ずかしい。脇汗ドバー。  そんな照れと恥ずかしさで上気しまくった私にも、お姉さんは親切に教えてくれた。  両替するのもちゃんとした手続きが必要らしく、申し込み用紙の記入方法についても説明された。  用紙には、いくら両替するのかを記入する欄がある。  ……困ったな、中身を数えないで来ちゃったから、金額がわからない。
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