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男の子に連れて来られたのは廃工場のような広い空間だった。
真ん中に大きなドラム缶がある。
「ここ、俺の隠れ家」
男の子はニッコリと笑い、ボクに壁の隅に座るよう促した。
手慣れたようすで火をつけると、ドラム缶の中の薪が燃え、中は次第にじんわりと暖まってきた。
「どうしてあんなところに居たの?」
男の子がボクの隣に腰かけて聞くので、ボクはありのままを正直に話した。
ヴァイオリンの稽古がイヤなこと、講師にありえないお仕置きをされてること、ママに色んなことを言えないこと……
男の子はうんうんと聞いてくれて、時々ドラム缶の薪を追い足した。
服は少しずつ乾きを取り戻し、ボクの心は段々と軽くなっていった。
「どんな気持ち?」
「え?」
「講師にいじられた時、どんな気持ちだったの」
「そりゃあ……」
ボクは言い淀む。
気持ち悪い、と言いたかった。
なのにその時のことを思い返すと、ボクのおちんちんは少し膨れた。
それがたまらなくイヤでイヤで、ボクは自分で自分を殺したくなる。
「死にたいよ……」
そう言ってボクが膝に顔をうずめて泣くと、男の子がそっとボクの手を取った。
「大丈夫、俺も同じだよ」
「同じ……?」
「俺も自分が嫌いだ。イヤでイヤで、汚くて消したくなる」
「……」
なんでそんなことを言うんだろう。
お兄ちゃんはとってもキレイな顔をしてるのに。
溺れてたボクを助けてくれたのに。
ヒミツの隠れ家まであるのに。
そう思って見つめていると、お兄ちゃんはボクにキスをした。
「!」
初めは額。次に頬で、段々とキスの唇は下に下がっていく。
「あ……お兄ちゃ……」
「汚れってどうやって落とすか知ってる?」
「え……」
「水は水。油は油。汚いものは汚いもの同士で落とすんだよ」
「あっ……やっ……!!」
お兄ちゃんがボクの首筋にキスしながら、下のおちんちんをこねるので、ボクはたまらず声を上げてしまう。
「あっ……やああっ」
「大丈夫、ここは誰も来ないから」
「イヤッ、イヤッ、お兄ちゃあああん!」
こねてこねてこねくりまわされると、段々もうこねれないくらいにボクのおちんちんは固くなってきて、お兄ちゃんはボクの口にキスをした。
「ん……んんんっ」
「気持ちいい…?」
ボクはこくこくと頷き息をする。
初めてするキスは、どこで呼吸していいか分からなかった。
「あう……あうう」
お兄ちゃんが耳元に口を寄せ、甘くボクの耳たぶを噛むので、ボクは必死に声を噛み殺した。
「ここ……出てるよ」
お兄ちゃんがボクの先っぽを触る。
「甘い液……そうだろ?」
「し、知らないよう……」
「舐めてみる?」
そう言うとお兄ちゃんはボクの下半身に屈み込み、ボクのモノを舐めた。
口の中で転がされて、時折チュパチュパ吸われて、あっという間にボクのモノはビタビタになっていく。
「あっ……やっ……濡れちゃうよう」
「いいよ」
「ダメだよ、ママに怒られる」
「川に落ちたって言いな」
「あっ……それもダメえ」
お兄ちゃんがボクのモノを包んで激しく上下するので、ボクは脳ミソにビリビリ電気が走ってるみたいにガクガクしてしまう。
「やっ……あっ……出る!」
「出していいよ」
「違う違う、おしっこー、出たらダメだよう」
「いいよ」
やっ……あっ……あ。
もうこれ以上我慢出来なくて、ボクはおしっこが漏れると思ったけど、代わりに出たのは白い液体だった。
「あう……」
でもおしっこも我慢出来なくて、ジョロジョロと地面を濡らした。
「あっ……あっ……」
ボクは泣いた。
「お兄ちゃんの馬鹿あ……」
お兄ちゃんは「ん?」ととぼけたようにボクの髪にキスをして、そのまま髪を撫でた。
「イヤだった?」
「イヤだよう…」
「死にたくなった?」
「……」
ボクは顔を上げる。
顔がかあーっと熱くなった。
「んーん……」
お兄ちゃんはカッコよくて、正直触られるとギュンギュン胸がしめつけられた。
講師の先生に触られてる時と違った。
「また……ここに来てもいい?」
「いいよ」
お兄ちゃんはボクの髪や首筋にまたキスをして、
「それまでにヴァイオリンを探しておくから」
とニッコリ微笑んだ。
――それから数日。
学校終わりに廃工場に行くと、約束どおりボクのヴァイオリンが壁に立て掛けられていた。ママには盗まれたと嘘をついた、カルロ・ジョルダーノだ。
だけど、当のお兄ちゃんは、いつになってもそこに現れることはなかった。
キレイな顔のお兄ちゃん。
きっとあれは川の聖霊だったのだと、思うには充分な月日が流れた。
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