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中1
僕は
父親とは仲が悪い。
というか、怖い。
そう感じたのは
中学生になってからだ
毎日のように怒られた。
悪いのは僕ではあるが
怒る父親が苦手だった。
中学校から帰ると
すぐに自主勉強が始まる。
勿論、自ら率先して勉強してたわけではない。
しばらく時間が経つと
外で家の門が開く音がした。
「やばい!お父さんが帰ってきた!」
僕は急いで玄関へ走った。
「お帰りなさい。はい。これ…。」
父親に渡したものはその日に学校で配られたプリントや授業で使ったノートだ。
「………おう。」
父親は一言そう言ってリビングに入り母親が準備をした夕飯をテレビも見ずに
僕の授業用ノートやプリントを見ながら食べ始める。
僕は勉強部屋に戻り自主勉強を再開する。
このときにすでに僕の体は震えている。
何故なら、ノートやプリントに日付が書いてなかったり空欄があったり間違いがあったり漢字を間違ってたりするとすぐさま呼ばれ殴られ蹴られして怒鳴られるからだ。
何もないときは父親が自分の部屋に入ってくる。
しかし、安心はできない。
父親は何かしらの間違いを絶対に見つけて怒るのだ。どんな小さなミスも許さない。
「教科書全部出せ。」
僕の体はビクっとした。
時々ある教科書チェックだ。
勿論、毎日、授業で触れた範囲のところに日付を着けてある。
というか、そう指示されている。
この日はここからここまでが授業でやった範囲とわかるように日付を最初と最後の2回書くのだ。
「はい。」
全ての教科書を渡す。
そう。全てだ。僕の家では教科書やノートを学校に置いてくるなんて事はありえない。
学校に忘れたなんていうと、家の中は半崩壊する。
殴られ蹴られ踏まれ突き飛ばされ。
殴る用に作られた筒状にまるめた雑誌なんて常備してあるくらいだ。
父親は教科書を受け取りリビングに戻り受け取った教科書のチェックを始める。
大事なところをマーカーやアンダーラインを引いてないと怒られる。
しかし、マーカーやアンダーラインを引きすぎても怒られてしまう。
本当に重要なところをわかってない証拠だと言われ怒られるからだ。
僕はまた自主勉強の再開だ。
「何かミスがあったらどうしよう……。」
僕の体は震えている。
心臓の音や鼓動が全身に響き渡るようだった。
少しの間、俺は動けなかった。
「おい!!!」
突然の怒鳴り声で驚いた。
「字を書く音もシャーペンのカチカチする音もページをめくる音も何も聞こえねーぞ!!!」
そう。
勉強部屋はリビングと隣同士の和室だ。
そして勉強部屋にふすまなど無い。
リビングからでも監視が出来るように取り外されているからだ。
しかも、家の構造や勉強机の位置、テレビの位置が厄介なのだ。
勉強机はリビングに向かう感じ設置してある。勉強机の裏はすぐにリビングでテレビが置いてある。
つまり、父親はテレビを見ながらでも
僕が勉強している姿を見れるのだ。
このとき父親は
死角になるソファーで僕の教科書を見ていたから僕は油断したのだ。
「まさか、音まで監視されていたなんて。」
本当に逃げ場なんてどこにもない。
そんな感じだった。
そして、父親が部屋に入ってきて
教科書を返された。
「今は何の勉強をやってたんだ?」
「明日、漢字の小テストがあるから漢字です。」
「見してみろ。」
震える手で自主学習ノートを父親に渡した。
少し目を通したあと
俺はボコボコに殴られ蹴られた。
「なんだこれは!!!」
どうやら勉強方法に問題があったらしい。
学校で教わった漢字の勉強方法は
ノートを横にして一番上に
漢字を書き、右に読み仮名書く。
そして、その下に1行分漢字をひたすら書く。
僕の自主学習での漢字勉強も
それを参考にしたものだった。
「こんなの意味が無いだろ!!!」
「簡単な漢字は2~3回書けば覚えられるだろ!難しい漢字も覚えられるまで書けばいいが
こんなに書く必要はあるのか!?」
まー。確かにそうだ。
この漢字の勉強の仕方だと
書ける漢字の個数は決まってるし
ただやってるだけみたいなものだ。
ノートの見映えはいいかもしれないが、覚えた漢字をそれ以上書く必要もない。
「俺の前では二度と英単語の勉強と漢字の勉強はするな。意味のある勉強だけしてくれ。」
そう。父親は意味の無い勉強は嫌いだ。
ただの時間潰しになるような勉強の仕方は大嫌いなのだ。
仕方なく、残りの漢字は明日の学校で
小テストまでの時間に勉強をすることにし、
違う勉強を始めた。
勉強は23:00までやれと言われてる。
時計を見たら22:58あと少しだ。
23:00になった。
リビングに行き自主学習ノートを父親に渡した。
そう。
自主学習ノートも提出制なのだ。
そして、自主学習で勉強したところと
その日の授業の範囲から問題が出される。
それに全問正解したらやっと寝れるのだ。
不正解になると
「お前は授業中何をしてたんだ!?」
「お前は何の勉強をしてたんだ?」
「さっきまで勉強してたのにもう忘れたのか!?」
「勉強したふりをしてたのか!?」
そんなことを言われながらボコボコにされる。
漢字ミスや漢字を間違って覚えてたりして
その漢字を連発した日なんて
「お前は間違った漢字を一生懸命書き続けて間違えた漢字を覚えたのか!」
そして、過去に怒られた漢字の勉強方法の話を持ち出して間違えた漢字をひたすら書いて覚えている俺をバカにしたように再現をする。
そして地獄を見る。
ひたすら殴られたあと、不正解になったところを勉強しなおしてから寝れるのだ。
そんな日々を送っていた。
ところが今日は違った。
ノートを見る前に俺はボコボコにされたのだ。
俺はどうしてなのか分からなかった。
どうして父親が俺のことを殴ってるのか分からなかった。
殴り疲れた父親はこういった。
「お前は23:00まで勉強しろと言ったら本当に23:00までしか勉強しないんだな。23:00ピッタリにお前が立ち上がるから見ていて気持ち悪いんだよ」
「22:59から時計の秒針を見ているのが分かるんだよ気持ち悪い。」
そう言われてからは最低でも23:30を超えて
少し経ってから勉強をやめることにした。
勉強部屋は僕の寝るところでもある。
父親が寝るまでは寝付けなかった。
父親が歩く音が聞こえる度に
何か言われるのではないか怒られるのではないかと不安になるからだ。
たちがわるいことに
父親は寝るのが凄く遅い。
深夜2:00を回っても寝ないことが多い。
父親が洗面所へ行き、歯を磨く音が聞こえた。
「あー。やっと寝るのか。」
父親が階段を上る音が聞こえて
寝ることが確信したとき
やっとぐっすり寝れるのだ。
あー。もう少しで定期テストだ。
そんなことを思いながら眠りについた。
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