近づくな

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近づくな

「いちいち失礼な人だよね。一応、私は先輩社員に当たるんだけど?」  周囲を確かめ、ほかに誰も聞いていないことを確認し、柔らかな笑みをたたえたまま、沙友里は近づいてきた雄大に向かってそう言い放つ。 「相変わらず、はっきり言うね。あ、社内では違うみたいだけど。――ところで、オーラがずいぶん薄くなっているけど。顔色も悪いし、あまり無理しないほうがいいんじゃないかな。もし何か買うものがあるなら、後輩であるこの俺が買ってきますけど?」  その言い方に一瞬苛立った沙友里だったが、腰の重苦しい苦痛のほうが勝り、渋々頷いた。 「じゃ、お願いしてもいい? サラダと……サンドイッチなりおにぎりなり、簡単なのでいいから。食欲ないし」 「分かった。代金はあとでいいよ。戻ったらラインするから、バーコード出して」  そう言って、雄大はポケットからスマホを取り出した。  
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