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 間宮がイエスと言わないので、思わず僕は「さっき、山崎さんの上司にあんなこと言った罪滅ぼしに行ってあげたらどうですか?」と言ってしまった困っている白石さんを見て、放っておけなかったのだ。すると加瀬君も「そうだよ。好きだろ? 魔女とかそういう怪しいの」と、助け舟を出した。  間宮はチラッと不快そうな顔で加瀬君を見たが、こう続けた。 「白石さん、世の中には知らない方が幸せなことだってあります。  僕が行くことであなたが望まない事実や、知りたくないことが分かってしまうかもしれませんよ。僕のやり方ははあなたもさっき見たはずです。僕は思ったことは遠慮なく言ってしまいます。それでもいいんですか?」 「それでもかまいません。分からない方が怖いですから。これがウィッカのシンボルだと分かっただけでも今日ここに来た甲斐があったと思っているんです」  白石さんがすぐ答えた。  間宮は少し考えた後「ではやるだけやってみましょう」といった。  それを見た白石さんが安堵の表情を浮かべたので、僕も内心ホッとした。  君子危うきに近寄らず。それがモットーの僕が抱える大きな矛盾。それは、超がつく「お人よし」であるということだ。 ――― なんだか奇妙なことになったなあ。  それでもここに滞在するつもりのなかった僕は、完全なる傍観者のつもりだったので、自分がこの事件にすでに巻き込まれているなんて、これっぽっちも考えていなかった。
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