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 母さんは一体どういうつもりで僕をこんな人のところへ寄こしたのだろう。 ――― あとで文句いってやる。  僕は500円玉を用意して席を立つと、レジの方に歩いて行こうとした。すると「お金は払わなくていいよ」という声が後ろから追いかけてきた。 ――― え?  僕は驚いて振り返って声の主を見た。  カウンタ前の椅子の背に持たれかかった間宮と、このとき初めて目が合ったが、僕は言葉に詰まった。 ――― なんて美しい顔だろう。 ――― 黙っていれば神が創った芸術作品。  やっぱ見るだけにしておけばよかった。だって、触らぬ神に祟りなし……のはずの僕の平和な日常は、この華麗なる変人に振り回されることになったのだから。
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