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「あの。オ……宙君は心理学者ですか?」  逆に僕が気になっていたことを質問した。 「ハハハハハ」  加瀬君が大笑いした。 「姉さんは本当に何もいっていないんだな」  間宮は少し呆れたような表情を浮かべた。 「はい、何も聞いていなくて」 「僕は画家だ」 「画家? 絵描きってことですか?」 「そうだ」 「こう見えて、若手の新進気鋭の画家として少しは名が売れているんだよ」  加瀬君が教えてくれた。 「『少しは』は余計だ」間宮はムッとした。 「へえ」 僕は一瞬、間宮を尊敬しそうになった。芸術家には憧れる。 「かなり売れている」間宮が続けた。 やっぱ尊敬するのはやめた。だが次の「でも今は一枚も描いてないけどね」という加瀬君の言葉に僕は驚いた。 ――― 一枚もってどういうこと? 「加瀬、それこそ余計だ!」
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