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「さっきの人たちですけど、後輩の女性が太鼓持ちさせられているっていっていましたけど、子供じゃないんだから本当に嫌なら旅行まではついて行かないんじゃないですか?」
「君なら断るのかい?」
「僕は……」言葉に詰まった。
――― 行ってしまうかもしれない。断ることによって角が立つかもしれないし、もう誘ってもらえなくなるかもしれない。それが怖い。
何しろ僕は超平和主義者なのだから。
そんな僕の考えを見透かしたように間宮はいった。
「断れる相手じゃないね、あれは。気に入った人間は可愛がるが、気に入らない人間は徹底的に攻撃するタイプだ。すでに飴と鞭の使い分けで、あの二人も洗脳されている」
「洗脳? 本当に?」
――― カルト教団じゃないんだから。
「さっきの年下の彼女たちは、自分たちが話すたびにチラチラとあの山咲という女性の顔色を見ていたことに君は気付かなかったのか?」
「いえ、全然」
「全く、君は何も見ていないんだな」
間宮は呆れたようにいった。
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